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Column【経営者のためのDX講座】DX推進!三つの壁の乗り越え方 vol.6

2026年06月20日コラム NEW!

※本コラムは、2026年4月9日に登壇したJapan DX Weekにおける公式カンファレンスをベースに連載しております。

 

前回は、「今、まさに歴史の転換期。新しい競争原理への変革の時であり、DXは最優先の経営課題である」ということをご説明しました。

「そうはいっても、今更何を勉強すればいいのか・・・」と思われた経営者様が多いかと思います。

そこで今回は、「経営者に必要なITリテラシー」について考えてみたいと思います。

 

 

経営層が目指すのは「IT活用人材」

 

経営層にITリテラシーが重要なのは理解したものの、「今更、何をどうやって勉強すればいいのか!?」と思った方も多いかもしれません。

日本人は生真面目すぎて、ITリテラシーの基準を高く設定しすぎです。

これは、政府にも責任があると思うのですが、一口に「DX人材」といっても、立場によって必要な知識は異なりますので、そこを分けてアナウンスすべきなんです。

そこで今回は、「経営層や管理者層に必要なITリテラシー」を再定義したいと思います。

 

 

■IT開発人材

まず、IT人材、DX人材というとどういった人を思い浮かべますか?

 

  • ・マクロやClaude Codeを自由に使える
  • ・プログラミングができて、情報システムの開発ができる
  • ・システムエンジニア

 

私は、こういった人たちを「IT開発人材」と呼んでいます。

経営者が今更こういったスキルを身につけることはできませんし、必要もありません。

 

■IT活用人材〜経営層編〜

それでは、こういったスキルであればどうでしょうか。

 

  • ・テクノロジーごとの導入の効果が理解できている
  • ・テクノロジーごとのリスクとそのための内部統制の考え方がわかる
  • ・テクノロジーは魔法の杖ではないことを理解できており、人の運用と合わせた導入が効果的であることを理解できている。

 

これであれば、かなりハードルが下がるかと思います。

 

 

特に「人の運用と合わせた導入」というのは、どのテクノロジーにおいても必要な発想なのですが、生成AIというゲームチェンジャー的なテクノロジーを前提とした場合、非常に重要な論点です。
経営層としては、効率化という意味だけでなく、リスク回避という論点においても人の運用も合わせた導入という目線を持っていただきたい発想になります。

 

少し脇道にそれますが、2026年6月のニュースで、メルカリSansanなどが、CHRO(最高人事責任者)とCAXO(Chief AI Transformation Officer)やCAIO(最高AI責任者)をそれぞれ兼務するというニュースが流れました。

いずれもAI活用を前提とした組織作りの必要性を鑑みた結果だと解釈していますが、これらは、AI導入の有無によらず、DXという経営戦略を前提としたIT導入を実施するのであれば、人が行う仕事の内容やフローの見直しは必須という、今回の講座の話と一致する流れと考えています。

ただ、個人的な感覚としては、前述の会社のようなITオリエンティッドな企業以外の場合は、CTO(情報システム部長ではない)が必ずしもいるわけではありませんし、人事は経営判断的要素が多分に含まれておりますので、人事責任者や経営層が、しっかりIT活用人材になり、組織の再編成を検討するという方が現実的かと思います。

つまりは、話は元に戻って、経営層のITリテラシーの向上は必須ということは間違いないということになります。

 

では、どうすればIT活用人材になれるのか?

これはもう、新しいテクノロジーに自らアンテナを立てていただくしかないです。

一旦、アンテナを立てることができると、どんどん情報が入ってきます。

 

具体的には、

  1. 用語をしっかりと知ること。そのことで、様々な横文字ニュースが頭に入ってくるようになる。
  2. 原理について概念から抑えること。ネットニュースには、ノウハウものが溢れ、また、にわか専門家が溢れている。それらに惑わされないために、「どういう仕組みのテクノロジーが」「何に活用できるのか」「どんなリスクがあるのか」という点を、随時、信頼できる専門家から教えてもらう。
  3. 失敗してもうまくいかなくてもいいので、実際に手を動かす。

 

①と②だけ行っても、③で実感していただかないと、全部は頭に入ってきませんので、①〜③のサイクルを常に意識していくしかないということです。

 

 

この話をすると、年齢や文系出身であることを言い訳にする方が必ずいます。

そこで、参考までに下記のお話しさせていただきます。

監査法人業界では以前から組織的な生成AIの活用が進んでいますので、その生成AIのご担当者に活用状況についてお伺いしたことがあります。

その方がおっしゃるには、「活用状況と年齢に相関関係はない」とのことです。

ちなみに、監査法人は公認会計士が数多く所属する団体で、公認会計士のほとんどが文系ですから、文系や理系は関係ないということになります。

というわけでは、少し厳しい言い方かもしれませんが、年齢や文系であるということは、言い訳にはならないということです。

 

そもそも、今の経営者世代は、パソコンやインターネットの黎明期から始まり、携帯電話、スマホ、クラウドなど、次々と現れる新しいテクノロジーの波に、しっかりと適応してきたはずです。

それを思えば、自信を持って取り組むことができるはずではないかと思います。

 

 

さて今回は、経営層の必須スキルの一つに「ITについての知識」が加わった…というお話をさせていただきましたが、どうしてもアレルギーのある方もいらっしゃるかと思います。

そういう方は、経営者目線での判断ができる方の中から「IT活用人材」になり得る方を腹心として置いてください。

そして、その方にしっかりと権限を与えてください。もしくは、その方の判断を信頼してください。

よくあるのが、「任せた」と言っているにもかかわらず、その担当者が上げてきた提案を、「理解できない」であるとか「目先の費用対効果が合わない」という理由で却下してしまう経営者様です。

 

企業環境は、未だかつてないスピードで変化しています。

ガラパゴスにならないよう、しっかりアンテナを立てていただきたいと思います。

 

次回は二つ目の課題となる、「部門間の連携不足」について、解説したいと思います。