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Column【経営者のためのDX講座】DX推進!三つの壁の乗り越え方 vol.10

2026年10月10日コラム NEW!

※本コラムは、2026年4月9日に登壇したJapan DX Weekにおける公式カンファレンスをベースに連載しております。

 

中堅中小企業のDXを阻む三つの壁、最後の壁は「業務プロセスの見直しなきIT導入」です。

今回は、業務プロセスの見直しの重要性についてデータを用いてご説明したいと思います。

 

 

非効率・属人化した業務の自動化は、効率化にはつながらない

 

「業務プロセスの見直しなきIT導入」という課題は、一見現場レベルの問題なので、取り組みやすいと感じるかもしれませんが、実は根の深い問題です。

ここでいう「業務プロセスの見直し」とは、個人レベル、部門レベルの個別業務の見直しにとどまらず、一つの業務フロー全体の見直しを指します。

つまり、第一の壁である「経営者のITリテラシー不足」が第二の壁「部門間の連携不足」を生み、さらに第三の壁「業務プロセスの見直しなきIT導入」へとつながっていくのです。

このように、三つの壁はそれぞれ独立した問題ではなく、互いに関連しながら、DX推進を阻む負のスパイラルを生み出しているのです。

この三つの関連性については、第二回でもご説明しましたが、ここまでのコラムを通じて、そのつながりをより具体的にご理解いただけたのではないでしょうか。

 

 

この業務プロセスの見直しへの取組み状況について、今回も、IPA「DX動向2025」のデータで確認したいと思います。

 

下記は、業務プロセスの最適化への取組み状況の諸外国との比較です。

想像通り、「全社的な最適化が完了している」及び「全社的な最適化に取組んでいる」と回答した企業の割合は、米国、ドイツがそれぞれ78%、60%に対し、日本は約半分の35%という低さです。

一方で、「業務プロセスの最適化に取組んでいない」とする企業が2倍以上となる19%にものぼります。

さらに特徴的なのが、「個別の業務プロセスの最適化が完了している」「個別の業務プロセスの最適化に取組んでいる」を合わせると46%と、実に半数近いのです。

 

 

この取組みの方針が、DXの成果にどのような違いを生んでいるかについてのアンケート結果が下記です。

 

 

注目すべきは、DXの成果が出ていないと回答した企業の75%が、全社的な業務プロセスの最適化に取り組んでいないという点です。

このように客観的なデータからも、業務プロセスの見直しなきIT導入が、成果に結びつかない日本のDXの原因の一つとなっていることがわかります。

 

この統計結果は、DX推進コンサルティングの現場での現場感と一致します。

 

日本の中堅中小企業では、人材不足を背景に、ある意味有能な人に仕事が集まりやすく、「多能工」になりやすいという実態があります。

それはそのまま業務の「属人化」を生みます。

 

また、歴史のある企業であれば、形骸化した業務が数多く残っている場合があります。

私が担当者に「なぜ、その業務を行なっているのですか?」と目的を聞いているのに対し、担当者は、「前任者から引き継いだので・・・」といつから行なっているかを答えることがよくあります。

業務というのは増えていくもので、特にチェックや確認作業などは、「この作業をやめたためにミスが起きたらどうしよう」という保守的な発想が働くために、止めるという決断は現場担当者には難しい面があるのです。

中には、システム導入前には必要だったチェック作業を導入後は不要になったにもかかわらず、時間をかけて実施している場合もあります。

これでは、システム投資の意味がありません。

 

 

また、システム導入に際しては、システムで自動化することを前提とした運用、つまりは人とシステムとの適材適所な業務分担が重要となります。

人とシステムでは長所・短所がまるで違います。

例えば、人はシステムにできない高度な判断ができますが、その判断力や勘も作業量が多く、疲労が溜まれば逆にミスの増加というリスクに繋がります。

一方で、システムはイレギュラー対応には弱い場合がありますが、作業量が少量でも大量でも作業効率は変わりませんし、ミスを起こしません。その上、24時間不眠不休で働きますし、もちろん、労働基準法の対象外です。

つまりは、両者の長所を生かす形での業務設計を検討することで、システム導入は、大きな効果を発揮するのです。

 

この考え方は、AIエージェントを導入する際に、さらに重要になってきます。

何をAIに任せ、何を従来のシステムで処理し、そして、人がどう関わるか。

AIエージェントの導入においても、こうした業務設計こそが、成果を左右する重要なポイントとなるのです。

この辺りの話は、別の機会にお伝えしたいと思います。

 

さて、今回ご説明しました業務プロセス見直しの重要性について、ASIMOVが実際に支援した事例を交えながらご説明したいと思います。