※本コラムは、2026年4月9日に登壇したJapan DX Weekにおける公式カンファレンスをベースに連載しております。
前回は、二つ目の課題としてあげた「部門間の連携不足」について、具体的な事例を用いて説明させていただきました。
DXの具体的な成果を出すためには、全社的な改革が必要だということはお分かりいただけたかと思いますが、そうなると
「具体的に何をすればよいのか?」
といったお悩みが出てくるかと思います。
「そうはいっても、うちはアナログだから」
「既に、様々なITツールを導入するなどDXを進めているが、思ったような成果が出ていない」
今回は、このような経営者様のお悩みを解決するための具体的なASIMOV ROBOTICSのノウハウをお伝えしたいと思います。

DXに王道無し!まずは、『業務可視化』から
まずは、DX推進に必要なプロセスをご説明します。
これまでご説明させていただいたように、本来のDXとは、経営者の積極的なコミットのもと、全社的な改革を進めることです。
■STEP1 業務全体(会社全体)を見える化し、全体を俯瞰したうえで本質的な課題がどこにあるかを網羅的に把握する
■STEP2 必要なツールの選定など改善策を選定する
■STEP3 改善の優先度を検討し、ロードマップを作成する
※ツールありきで導入しない
「えっ?」って思われた方が多かったかと思います。
これらは、私などがご説明するまでもなく、経営者様であればご認識されていることかと思います。
そうなんです。
DXに王道はありません!

と、これで終わってしまっては解決になっていませんので、このSTEPを前提に、弊社のノウハウをご説明したいと思います。
■■STEP1 業務可視化と課題の抽出■■
下記のフローチャートをご覧いただきたいと思います。

このフローチャートのポイントは下記の二つです。
①「業務の流れ」「データの流れ」を一つのフローチャートに収めていること
システムフロー図などですと、アナログな業務が抜け落ちてしまいますので、両方を一度に見える化したものとなっています。
②誰が見てもわかるフローチャート
アイコンなどを活用することで、誰でも直感的に理解できるようになっています。
例えば、Excelでお馴染みの緑のアイコンを、また入力するプロセスはパソコンに人が入力しているアイコンを使っています。
通常のフローチャートは、図形や記号などを使ったものが多く、「読み解く」という手間が発生してしまいます。
広く現場の社員を改革に巻き込むために、誰でも説明なくすぐに理解できることが重要だと考えています。
まずは、この業務フローチャートを全社を対象としてまとめます。
全社を対象とすることで、部門間のやりとりなども洗い出され、全体最適を目的とした議論が可能になります。
その上で、課題のある業務について、「課題」を示すKマークを入れていきます。
これにより、課題の所在の全体像を把握することができます。
この課題の抽出は、IT化、自動化できる業務だけではなく、「業務そのものが非効率である」とか「属人化している」といった運用の課題も含めて洗い出しますし、もっというと、「形骸化していて現在は不要な業務」についても課題として抽出していきます。
■■STEP2 改善策の選定■■
課題が俯瞰できたところで、次にITソリューションを検討していきます。
この段階では、一旦個別の費用対効果は考えず、IT化、自動化できそうな業務を網羅的に抽出し、A(Automation)をプロットしていきます。
費用対効果を考えないのは、ある単独の業務だけを自動化しても効果は小さいかもしれませんが、類似業務をまとめたり、前後の業務も巻き込んで一気通貫で自動化することで、大きな効果につながる可能性がありますので、そういった業務の取りこぼしがないように網羅的に抽出していきます。
■■STEP3 ロードマップの作成■■
ロードマップの作成は、非常に重要です。
DXは改革ですので、痛みを伴う場合もあります。
また、日常業務が忙しい中での取り組みということになれば後回しになる可能性があります。
そもそも、変革にはパワーが必要になりますので、どうしても元に戻ろうとする力が働くものです。
そのため、定量的、定性的な業務改善の目標に加え、タイムスケジュール的な目標を決める必要があります。
ロードマップを作成する際は、限られた人的、資金的リソースの範囲で、緊急性(現状の負担の重さ)や重要性(効果の大きさ)などを考慮して優先順位を決定することになります。
このようなSTEPを踏むことで、とりあえず顕在化した目の前の課題から解決していく「スモールスタート」ではなく、全体最適をベースとした計画を少しずつ実行していく「段階的実施」を実現することができます。
両者の結果が大きく異なるということは、これまでのこのコラムでお伝えしてきた通りです。

弊社では、この業務可視化を実施するサービスとして「ASIMOV-Insight」をご提供しておりまして、下記を報告書として作成しています。
・会社全体の業務フロー・部門別の詳細な業務フロー
・抽出した課題とその解決のためのソリューション提案
・ソリューション提案の具体的な「As Is→To Be」
・ロードマップ案

なお、この業務可視化からロードマップの作成は、非常に重要なプロセスではありますが、DX推進の準備段階、第一歩に過ぎません。
そのため、私どもはできるだけ、短期間かつ、現場への負荷を最小限にして実施することをお勧めしています。
このプロセスの目的は課題の所在を明らかにすることで、課題の詳細や具体的なソリューションの要件を詰めるのはその次のステップになります。
ちなみに、弊社が実施する場合は、ヒアリングそのものはたった1日(6時間)で実施しています。
一部門あたりは、30分〜1時間半程度で実施しますので、この時間の範囲であれば、お忙しい現場のご担当者様でも1回のミーティング程度の負荷ですので、無理なく応じてくださいます。

なお、6時間で実施する、というと、必ず
「できるわけがない」
「信じられない」
といった、ご意見をいただくのですが、実際に、既に数多くの会社様に提供しているサービスとなります。
もちろん、このような短時間でヒアリングが実施できるのは、弊社にそのノウハウとスキルがあるためなのですが、それらは、私のバックグラウンドである公認会計士の持つスキルによるものなのです。
会計士というと会計のスペシャリストのイメージが強いかと思われますが、決算書を評価するにあたり、「決算書の数値につながる全ての業務フローをチェックする」という業務があり、仕事の半分は、この業務フローに関わるものです。
そのプロセスにおいては、部門単位ではなく、データやお金の流れにフォーカスするため、部門横断的にプロセスを評価する視点を持っており、そのため、「公認会計士はあるべき業務フローを熟知している数少ない専門家」なのです。
この視点にDX視点を合わせて、会社の業務を効率的に棚卸ししていくのが、ASIMOV-Insightのノウハウなのです。

なお、このASIMOV-Insightは、原則、ヒアリング対象範囲を全社として行わせていただいています。
よく「あまり大掛かりに始めたくないので、〇〇部門のみを対象として欲しい」というご相談をいただきます。
もちろん、企業規模などによっては、事業部単位、工場のみなどスコープを狭めることもありますが、やはり「関連する部門」については対象としておかないと、根本的な解決にはつながらないことが多いと感じています。

次回は、3つ目の課題となる「業務プロセスの見直しなきIT導入」について、ご説明させていただきたいと思います。


